『ふたつのオリンピック』(ロバート・ホワイティング 玉木正之訳 )読了。
前回に続き、今回の東京オリンピック開催をもその開催後を危ぶむ筆致だ。ホワイティングさんは長年東京で暮らし、東京を愛している。「日本的」野球や、ヤクザの世界、裏町の生活を実地に体験し、それを日本論に昇華させている。
世界に類のない、(褒めているわけでなく、その反対の)「記者クラブ」とは徹底的に対決する。読者に事実を報告するジャーナリストとしては当然なのだが、それを「記者クラブ」は問題視する。
題材だけを読み取って考えていくと、気が滅入りそうになるが、彼の明るい文体がそれを救っている。玉木さんはそこをうまく訳したと思う。