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ハンラハンはケルトの薄明の奥深くへと踏み込んでいった。天地が分かちがたく溶け合う薄明の中で、天と地はお互いの美しさを自分自身の影として受け入れていた。
『赤毛のハンラハンと葦間の風』(WBイェイツ 栩木 伸明【編訳】平凡社)

うまくやってのけられる術を心得ていて、うまくやってのけたいと欲し、そしてやってのけられ、さらにもう一度うまくやってみることのできる者たちに昼が許したことを果たして夜が妨げるかどうかということだ。
ベケット『反古草紙』の1

彼は始めて四方を見廻しました。頭上に花がありました。その下にひっそりと無限の虚空がみちていました。ひそひそと花が降ります。それだけのことです。外には何の秘密もないのでした。
ほど経て彼はただ一つのなまあたたかな何物かを感じました。そしてそれが彼自身の胸の悲しみであることに気がつきました。花と虚空の冴えた冷めたさにつつまれて、ほのあたたかいふくらみが、すこしずつ分りかけてくるのでした。
『桜の森の満開の下』坂口安吾

いくつもの奇跡的な出会いが地の底の水脈でつながり、言葉と言葉を、人と人を艶やかな表面で結びつけ、誰も見たことのない深さに変貌させていくような瞬間に遭遇したとしたら、感謝をこめて、私はそれを「文学」と呼んでおきたい。
堀江敏幸『書かれる手』

‪小川洋子さん、英文学賞候補に 「密やかな結晶」ブッカー国際賞 | 2020/4/3 - 共同通信 this.kiji.is/61847165125789398

「この指輪を受けていただきたい。」と、かれはいった。「あなたの任務は困難なものとなりましょうが、これはあなたが自ら負われた仕事に倦み疲れた時、あなたを支えるものとなりましょう。なぜならこれは火の指輪であり、あなたはこれによってしだいに冷えゆく世界の人の心をふたたび燃え立たすことができるからです。わたしのことなら、わたしの心は海とともにあり、最後の船が船出するまで、わたしはこの灰色の海辺に住まうのです。あなたをお待ちしてますよ。」

指輪物語 追補編
キアダンからガンダルフへの言葉

明日のエイプリルフールは、すぐに嘘だとわかる楽しい嘘をつこう。少しでもほっとできるような、「ふふっ」と笑えるようなそういうツイートを流そう。

お嬢さんは本が好きなんだね
いいことだ 良い本は錨になる
君の港の君の船のね
大波が来てもさらわれないように
そして力と知恵をたくわえて出港してください
Papa told me 17巻 EPISODE.82 遠山さん

沼野先生の講義を聞いていて思い出しました。

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『ミラノ 霧の風景』で、とても好きな箇所のひとつであり、また痛みを伴う箇所でもあり。

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ユダヤ人にたいして、どういうわけか、夫はいつもふかい愛情を示していた。おそらくは、聖書にある彼らの流浪の運命に共感してのことだったに違いない。また、第二次世界大戦中、反ナチスの抵抗運動にたずさわってユダヤ人をかくまった世代の、それひとつの生のあかしだったのか知れない。政治に関してはまったく音痴な彼だったが、友人のなかにどうかしてユダヤ人をわるく言う人がいると、ねばりづよく反論をのべていた。

『ミラノ 霧の風景』須賀敦子

彼の美しい気高さは、滅びる運命とわかっている民族のためにそれでも戦わなければならない、その矛盾を引き受けているところから来るのではないか。特別な少数民族のことではない、負けるとわかっていても戦わざるを得ない、どんなに恐ろしい同調圧力の中にあっても、心の中ではそっと不同意の姿勢を貫く。大声を張り上げなくても良い。小さな大事なものを守り続けること、それが文学に携わる者すべての仕事ではないか。
沼野充義先生最終講義より

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沼野充義(東京大学教授)最終講義「チェーホフとサハリンの美しいニヴフ人――村上春樹、大江健三郎からサンギまで」
youtube.com/watch?v=R4pZueSRP0

せら boosted

「東京神保町では古書のパニック買いで古書店の書棚が空っぽ」というのだったら許せる(いや許せない)

新型肺炎の件がおさまったら、東京へ行って国立西洋美術館の御方様に拝謁したいです。

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横浜で開催中。延期や中止の予定はないようです。10月から大阪開催も。2020年3月15日(日)〜9月27日(日)※予定
>>バンクシー展 天才か反逆者か banksyexhibition.jp/

ハワードの知性はいわば、共鳴板のない楽器になってしまった。注意深く、賢く考えることができ、独創性にも事欠かないのに、自分の思想を用いてそれ自体よりも深い何ものかを代弁させることができなかった。この点において彼の知性は詩の対極に位置していた。なぜなら詩の本質は、カーテンの後ろからものに触れようとするいとなみだからである。

『ジョン・シャーマン』イエーツ

たとえば、ゴッホという画家の人生を見てごらん。狂人扱いされながら、事実ほとんど狂人になりながら、それでも描くことを決してやめないだろう。生活の苦しさなんか問題じゃない。なぜなら、絵を描くのでなければ生活する理由だってないからだ。普通の人は、何もそこまでしなくたってと思う。でも、そうじゃない。彼はそうするしかできないんだ。なぜそうするしかできないかと言えば、彼は自分を越えるものを見ているからだ。自分を越えた力に憑かれてしまっているからだ。彼は、彼であって、彼ではないんだ。だからこそ、その人ではない他の人にも、感動を与えることになるんだ。もしもそれが、自分の欲得を計算して為されたような仕事だったら、どうしてそんなものが他人に感動を与えるはずがあるだろう。

14歳からの哲学「本物と偽物」池田晶子
ゴッホ『麦畑』1886年

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